日本とスコットランドのゴルフ教育の違い
日本でゴルフを始めるとき、多くのレッスンはまず7番アイアンからスタートします。なかには、最初からドライバーを振らせて「飛距離の楽しさ」を体感させるスクールもあります。特に若いゴルファーは体力もあり、マンぶりで飛ばす練習が中心になりがちです。飛距離は確かに魅力的で、フェアウェイへ大きく運べたショットは爽快そのものです。
一方で、ゴルフ発祥の地スコットランドのレッスンは発想がまったく異なります。まずパターから入り、次にウェッジ、そしてショートアイアンへと進みます。理由はシンプルです。ゴルフは「遠くへ飛ばす競技」ではなく、最後にボールをカップへ入れる競技だからです。250ヤードのドライバーショットも、最後の1メートルのパットもスコア上は同じ1打。この現実を最初から叩き込むことで、自然とショートゲームを土台にしたゴルフ観が身につきます。
「飛距離偏重」がスコアアップを妨げる理由
飛距離アップの練習は楽しく、やる気も出ます。しかし、スコアという観点では、飛距離が直接的に効果を発揮しない局面が少なくありません。ティーショットがいくら飛んでも、グリーン上で3パットしてしまえばスコアは崩れます。逆に、ティーショットがやや短くても、アプローチとパターで確実に寄せワンを取れれば、総合的なスコアは大きく改善します。
日本では「パターやアプローチの練習は退屈」というイメージが根強く、練習場でもショートゲームに時間を割く人は多くありません。けれども、100切りを本気で目指すなら、優先すべきは飛距離ではなくショートゲームです。スコアメイクの基盤を支えるのは、地味な反復練習の積み重ねにほかなりません。
実体験:ショートゲームを磨くとスコアは安定する
私は年齢とともにドライバーの飛距離が落ち、以前は230ヤード飛んでいたものが、今では200ヤード前後になりました。それでもスコアはむしろ安定しています。理由は、ショートゲーム練習に時間をかけるようになったからです。
自宅にはパターマットを置き、毎日1メートルのパット練習を最低5分は行います。最初は単調に感じても、10球連続で沈めることができるようになると、コースで短いパットを外す不安が消えていきます。これだけでラウンド全体のストレスが減り、結果的に3打前後は縮まった体感があります。
さらに、アプローチネットを使って50度ウェッジのピッチ&ランを反復。10ヤード、20ヤード、30ヤードと距離目標を決めて練習することで、寄せワンの確率が明らかに上がりました。ドライバーの飛距離を10ヤード伸ばすために何か月もかけるより、ショートゲームの精度を上げるほうがスコア短縮に直結します。
ショートゲーム重視が「最短ルート」である理由
スコアは「どこで崩れるか」に左右されます。ティーショットで大きく曲げてトラブルに陥れば乱れますし、パターやアプローチをおろそかにすれば、パーオンしても3パットでボギー、寄せ切れずダブルボギー。これが積み重なれば、いくら飛距離があっても100は切れません。
逆に、ショートゲームで崩れなければ、ティーショットが多少不安定でも100切りは十分可能です。つまり、地味な練習こそ最短ルートなのです。華やかではないからこそ、多くのアマチュアが避けがちな領域。だから、ここに時間を投資できる人ほど、確実にスコアが伸びていきます。
具体的な練習法(自宅&練習場)
1)パター:1mの「入れ切り」を日課にする
- パターマットで1m×10球連続成功を目標にする。
- ストローク中はフェース向きとインパクトの強さのみを意識し、ルーティンを固定。
- 朝または就寝前の5〜10分で良いので毎日継続。
2)アプローチ:50度ウェッジのピッチ&ランを軸に
- 10/20/30ヤードの3距離をベースに、高さ一定・ランで距離を出す発想で反復。
- アプローチネットを使い、10球中◯球の成功数を可視化する。
- ライや芝目の影響を受けにくい基本球を確立し、応用はその後に。
3)ラウンド設計:無理を捨て、得意距離を残す
- ティーショットはハザードに届かない番手を優先。
- 2打目はグリーン方向より次打のライと距離を最優先(得意な70〜90ヤードを残す等)。
- 「ボギー上等」で+3や+4をゼロに近づける設計が、結果的にベストスコアを呼ぶ。
練習の時間配分を見直す
これから取り組む方は、練習時間の配分を見直してみてください。たとえば、ショートゲーム7:フルショット3。日本では逆の比率になりがちですが、スコットランド流の発想を取り入れてショートゲームに7割の時間を投資すると、驚くほど早く結果が出ます。
結論:100切りの鍵は「退屈な練習」にある
派手なドライバー練習ではなく、毎日のパターとウェッジの反復。誰もが後回しにしがちな退屈な練習こそ、上達の核心です。スコアは入れる力と寄せる力で決まります。日本のレッスン文化に流されすぎず、スコットランドの哲学に学んで、ショートゲームから土台を築く。これが100切りへの最短ルートです。
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※ 本記事は筆者の実体験を中心に構成しています。引用は最小限とし、著作権を尊重しています。