パットの距離感を磨くために ― アンダースローのイメージから学ぶ

アンダースローのイメージでパット距離感を磨く練習シーン

ゴルフでスコアを大きく左右するのは、ティーショットでもアイアンショットでもなく、最終的にはグリーン上のプレーだと多くの人が口を揃えて言います。特にアマチュアにとって悩みの種になるのがパットの距離感です。1メートルのパットを外せばもったいないと感じますが、実際には3パット、時には4パットをしてしまうことで一気にスコアを落としてしまうことも少なくありません。

距離感をどう作るか。これはプロであっても永遠の課題であり、アマチュアにとってはなおさらです。そんな中で参考になるのが、世界的に有名なレッスンプロであるハービー・ペニックの教えです。

目次

ハービー・ペニックとベン・クレンショーの有名なやりとり

ペニックの著書『リトル・レッド・ブック』には、弟子のベン・クレンショーとのやりとりが紹介されています。クレンショーは当時、グリーン周りのアプローチでどうやってピンに寄せるかに悩んでいました。彼はロフトを開いたウェッジでボールを上げ、ふわりと落として止めるスタイルを好んでいたのです。

「もし君が手でボールをピンに近づけるとしたら、どのように投げるだろう?」

クレンショーは少し考え、自然と下からのアンダースローでボールを転がす動きをしました。するとペニックは「それこそが一番自然で、確実に距離感を合わせる方法だ」と答えました。

このアドバイスを受け、クレンショーはロフトの立ったクラブを使い、無理に上げずに転がすスタイルを取り入れるようになりました。その後、彼はパッティングとアプローチの名手として多くの試合に勝利し、メジャーチャンピオンにまで登り詰めたのです。

なぜ「アンダースローのイメージ」が有効なのか

  • 人間の本能に近い動作だから直感的に距離が合いやすい
  • ストロークがシンプルになり、余計な力みが減る
  • ロングパットでは「このくらいで投げる」という意識がそのままタッチにつながる

特に10メートル以上のロングパットでは効果が顕著です。「どれくらい振ればいいか」と頭で考えるよりも、「もし手で投げるならこれくらい」とイメージする方がタッチは自然と合ってきます。

実際の練習法と取り入れ方

  1. 練習グリーンで実際にボールを手で転がし、ピンまでの距離を感覚で合わせてみる
  2. その感覚を体に残したまま、同じ距離をパターで打ってみる
  3. ロングパットでは「投げる距離感」をストローク幅に置き換える
  4. ショートパットでは強く出す必要がないため、「そっと置く」イメージを優先する

距離感を高めるためのおすすめアイテム

距離感を磨くには「感覚」と「道具」の両面が必要です。いくつか私が使って良かったもの、周囲のゴルファーから評判の良いものを紹介します。

距離感を安定させるパター選び

どんなに感覚を磨いても、パター自体が合わなければ成果は出にくいものです。最近注目されているのは中尺・重めヘッドのモデルです。

  • Odyssey Ai-ONE Jailbird(42インチ) 重ヘッド+カウンターバランス設計で、ストロークを肩で行えるのが特徴。特にロングパットで威力を発揮します。
    Odyssey Jailbird パターの詳細を見る
  • TaylorMade Spiderシリーズ 直進性が高く、ショートパットの安定感が抜群。ラインにしっかり乗せたい人におすすめ。
    Spider パターを探す
  • 初心者向けのコスパモデル 1万円以下の練習用マレットパターも十分実用的。まずは自宅用やサブパターとして試すのもありです。
    練習用パターをチェック

まとめ:距離感は自然な動作に学ぶ

ゴルフは科学的に分析されることが多いスポーツですが、最終的には「人間の自然な動作」に勝るものはありません。ハービー・ペニックの言葉は、そのことを改めて気づかせてくれます。

パターの距離感が合わないと悩んでいる方は、まずは「手でアンダースローするイメージ」を取り入れてみてください。それだけで不思議とストロークが安定し、ロングパットの3パットを減らすことができるはずです。

ベン・クレンショーがそうであったように、距離感をシンプルに考えることがスコアアップの最短ルートなのです。ぜひ練習器具やパター選びも工夫しながら、自分に合った距離感づくりを進めてみてください。

目次